株式会社 山の加工場ネットワーク
代表取締役 横濱金平
1951年生の私は手塚治虫氏のまんが・アニメーションの影響を受けて少年時代を過ごしました。
今でも自然界の生き物・動物や植物、昆虫や樹木は、人間と会話ができると信じています。
1996年 日本の森に係る仕事を立ち上げました。美しい森の中を散策した時、羊歯が生い茂る熱帯雨林の中に入り込んだ時のような、不思議な感覚の中で鳥の囀りや啄木鳥の木をつく音が森中に響き渡った瞬間閃いた!
心身に障害があっても無くても、皆が同じように心地よく幸せな暮らしの中の風景、森のささやき鳥のうた・・「森の音」の閃き。私自身が難聴で重度の耳鳴りに悩まされているのだが、平穏な一瞬でありました。
そして、森の中にいるような心地よい空気を感じられるマンションインテリアを創ってみたいと思いました。子育てをする若い人たちが購入するマンションで、地域に沢山あるスギやヒノキを使うインテリアの開発に夢中になり、気がついたら3000戸ほど手掛けていました。
しかし、本来木材の持つ固体振動・骨伝導は、クレームの原因になるのですが、それをアニメーション的発想で解決できました。
それを解決したはずなのに、逆に音を増幅したらどうなるかな~?と、ついつい考えていたら、サウンドルームになりました。さっそく知人の住宅で、天井板に施工してみると、思いのほか上手くでき、天井板に寝転んで、音楽を聴いているうちにあまりの心地良さに眠くなり夢見心地の中で、美しい森の感動が蘇ってきて、思いつくままにデザインしていると「葉音・木音・花音」になったのです。
イメージはあっても、実際に作ってみると手強い木材は思うような曲面にはならないし、音もでて来ません。何度も試作するうちに葉音の双葉は、鳥の翼となり、つの間にか大空に羽ばたき始めました。美しい曲面からは、優しい音が出てくるのです。
木材だけで作られた翼は、風に揺られてとてもファンタジックな、まるでスタジオジブリのアニメーションの世界です。
鳥の囀り、風、森の妖精、木の力を借りて、マンガ少年が辿り着いた世界。それが「森の音」です。